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dancyu gift 085揚げる。[天ぷら鍋]油を制するには、まず道具から 香ばしい匂いに誘われ、ふらりと店に入ると、清潔感漂うカウンター。その中では、油が心地よい音を立て、旬の食材を極上の天ぷらへと仕立てていく。 あの揚げたての旨さをわが家で味わいたい。さくっとした歯ごたえを自ら作り出してみたい。そういう野望を抱く輩も多いだろう。 天ぷらとは油との阿吽の呼吸。その温度をどう制するかが鍵だ。 古くは屋台で振る舞われ、今や日本を代表するこの揚げ物には、やはりそのための鍋。温度計が付いたものやら、揚げ網が付いた鍋やら、いろいろ出回ってはいるが、どちらかといえば、「おいしく」作るというよりは、「簡単に」作るのを目的としたものが多い。「おいしく」を目指すなら、伝統的な形のものが理想だ。 つまり、鍋底が平らで厚いこと。それは、常に安定した温度を均等にタネにまで伝えるため。やはり、油の温度をいかにコントロールできるかがポイントだ。そこで、この鉄の天ぷら鍋。素材は2㎜の鉄厚板。熱を蓄える力が強く、高温に上がった油の温度を保つことができる。さらに口の広い形状は、天ぷらを揚げる時に、ネタに含まれる余分な水分を飛ばすにちょうどいい。天ぷらがべたつくのを防いでくれるのだ。上/衣は太い花箸でさっくり混ぜる。下/かき揚げ専用スプーンは、するっとタネが鍋に落ちるよう角度に工夫。道具厳選

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